2人の輝く笑顔

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そのお母さんは疲れていた。
どの母親にとっても育児は大変である。

ただ、障害を抱えた子を育てることは想像以上に大変なことであった。

娘が抱えていた障害は、知的障害などの症状を持つ難病
【プラダ―ウィリー症候群】
自分で判断して行動ができないので、常に付き添う必要があった。
だから24時間、365日気が休まらなかった。

職場の仲間が毎年楽しみにしている社員旅行。
娘を置いていくわけにもいかないので、毎回一人だけ欠席だった。
その疲れた様子を見て、ある知り合いがカーブスを紹介してくれた。

カーブスは想像以上に楽しく、気持ちがリフレッシュされた。
しかし、楽しい場を過ごすほど、同時に辛い思いも抱くのであった…。

娘にもこんな楽しい場があったらいいのに…

でも、自己判断や協調性が求められるカーブスに通えるわけがない…

あぁ、なぜうちの子だけ…あぁ、なぜ私だけ…

カーブスのコーチはとてもやさしかった。
普段はあまり苦労を話さないその母親もカーブスのコーチにはいろいろな想いを話すようになっていた。
カーブスのコーチはいつも

「ぜひ、娘さんと一緒に。」

と言ってくれた。 コーチの気持ちは嬉しかった。でも、無理なものは無理。 あの子がカーブスに通えるわけがないし、正直言えば、あの子をみんなに見せることが恥ずかしい…
だから何度言われても断っていた。
でも、私が心のどこかで変わりたい、と思っていることに気づいてくれたのだろうか。
ある日、コーチが真剣な表情で私に話しかけてきた。

「営業時間後、皆が帰った後に娘さんと一緒に来てみては?」

あまりにも真剣な眼差しに、NOとは言えなかった。
そして、娘と一緒に営業時間後、カーブス体験をする日が決まった。

しばらくは何度も後悔した。
しかし、その日はやってきた。

コーチを困らせるだけであの子がカーブスに通えるわけがない… 何より、大好きなコーチにあの子を見せるのが恥ずかしい…

営業時間後の他のメンバーがいない静かなカーブス…
いつもより広く感じた。

娘はマシンを前にして一人で乗ることすらできなかった。
本来、30分で終わるサーキットだが、少しのマシンしかできなかった。

やはり無理なんだ…恥ずかしい…早く帰りたい…

コーチにお礼を伝え、帰ろうと娘の手を引いた。
その時、娘が口を開いた。

「楽しかった!また来たい!」

娘が自分から何かをしたいと口にするのは珍しかった。
そして何より娘の顔には普段見られないほどの笑顔があった。

もし通うとなったら一番迷惑をかけることになるのはコーチ。
でも、そのコーチが嫌がるどころか何度も背中を押してくれた。

それから、娘のカーブス生活が始まった。 娘を主に担当してくれたのは、梶野コーチと丸山コーチだった。
毎日毎日、コーチがマンツーマンでフォローしてくれた。
初めは何もできなかった。
やがて一ヶ月経つと、母を追って自らサーキットをまわるようになった。
さらに一ヶ月経つと、母親なしでも自らまわるようになった。
娘の成長を見て、母親は目を疑った。

気が付けば、自分で使うクッションを自分で用意したり、終わったら片付けるようになっていた。
そしてついに、一人でカーブスに通い、一人で家に帰れるようになっていた。

そんなことは、できないはずなのに…絶対に、できないはずなのに…
母親はふと気づいた。

できないと思っていたのは、私だけなんだ…

カーブスのコーチ達は、周囲のメンバーさん達は、娘の可能性を信じてくれていたんだ…

それに気づいたある日、母親はサーキットの中央に立って大声でその場にいる人に想いを伝えた。

「娘を見くびっていたのは私でした。本当はできるのに、できないと思い込んでいました。」

「それを教えてくれて…本当にありがとうございます!!!」

母親の涙まじりの感謝の言葉に対して、その場の全員から拍手が送られた…

その年、母親は初めて社員旅行に参加することができた。
初めての社員旅行は本当に楽しかった。
娘は、いつものようにカーブスに通い、笑顔で過ごしていた。

社員旅行を終えて、母・娘の再会。
そこには二人の輝く笑顔があった。